ギリシア古典悲劇と並ぶ、
世界演劇悲劇の最高峰とされるシェイクスピアの四大悲劇の一つである「オセロウ」。
シェイクスピアのこれらの演劇作品は、全てセリフのみで構成されている。
この作品は1604年が初上演とされており、今から約400年も前に創られて尚今も残る物語だ。
世界最古の恋愛小説ともいわれる「トリスタン・イズー物語」を思わせるセリフもあり、古典というのはその一冊が完全独立した存在ではなく、他の古典と有機的に繋がっていることを感じる。
一冊の古典から無限に拡がる。
書物の海とはこのこと。
このシェイクスピア「オセロウ」。
悲劇。痛切。痛ましい。
最愛の人を打ってしまう(殴る)程、悲しいことはない。まるで自分自身の身体を破壊してえぐるようなもの。
最愛の愛する人に何と言われようと、それでもわたしの愛は変わりません、というその鉄の愛の意志で一貫して一途に愛する姿勢に心打たれる。
純粋無垢で天使のような心をもつ人。
そして、
死んではならない人が
死んではならない死に方で
死んでしまった。
死ぬ間際に及んでもまだ、「あの人によろしく」と。別れ際に自分のことではなく、相手のことを思い、気にかける心。そこには愛がある。
シェイクスピアの人間への洞察の深さと、あらゆる感情を巧みに表現する様に深く感服する。
素晴らしい名著。
YOERU.